鱸@エンタメブログ

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ドラマ『ボイス』 日韓の違いを見比べて思ったこと

現在、日本テレビで放送されている『ボイス 110緊急指令室』は、2017年から韓国のケーブルテレビで放送されたボイス』のリメイク作品になっており、韓国では第三シーズンまであり、第1:16話、第2:12話、第3:16話となっているみたいです。

 

面白い海外のドラマは、アメリカに限らず、フランスでもオーストリアでも韓国でもどんどん取り入れてリメイクが生まれることには賛成ですが、傾向として、日本でリメイクする場合、ほとんどがショボくなってしまいます。

 

何故なんでしょうか?

 

 最近だとフジテレビがSUITSをリメイクして散々でした(私の評価が)。

例えば、これは、制作費が桁違いのアメリカと比べることに対して致し方なしという面もあったかなと思うのですが、韓国ドラマのリメイクもショボいというのはなんなでしょうか?

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©Nippon Television Network Corporation

今期のドラマはほとんど見ておらず、凪のお暇も3話くらいで離脱していて、海外ドラマを中心に見ているのですが、そこで見つけたのが韓国の「ボイス」です。

 

ボイス~112の奇跡~

ボイス

 

なんで112なのかというと、日本の110は韓国で112だからですね!最近、物騒なので韓国に旅行される人は覚えておいた方がいいかもです。閑話休題

 

で、日本のリメイクを見る前に本家を見ておこうと思って見始めました。現在4話までみましたが、エグイ!、グロい!でなかなかのものがあります。韓国の映画のバイオレンスさは日本の比ではないのは知っていましたが(20年くらい前に韓国映画をたくさん見ていた時期がありました。「シルミド」とか「猟奇的な彼女」とか)

 

映像の空気感というか、緊迫感、粗暴感がとてもあり、役者陣の演技もなかなかにはまっています。もちろん、アレ?って思うところはあるのですが、それでも「まあ、いいか」と流して観ることができました。私がドラマでも映画でもそうなんですが、”ご都合主義”は否定しません。ただし、それを気にしなくても楽しめる力が作品にあればです。それのない”ご都合主義”はボロカス言ったりします。

 

まだ初期なのですが、2話、3話の子供の虐待の話は、それはそれは恐ろしく、リアリティがあり、思わず寝ている子供たちを抱きしめに行きたくなったほどです。虐待を受けた育った親は、自分の子供に対しても同じことをするっていうことは知識として知っていても、かなりリアルにそれを再現されると、それはそれは恐ろしいです。

 

それで4話まで本を見て、第1話、第2話あたりの日本のリメイク版を見て見ました。冒頭からなんかショボいわけですよ。水たまりに映った花火があからさまにCGで、なんでこんな演出なのかな?って見始めたのです。何かの伏線なのかな?って。ちなみに、本家は雪の再開発地区からはじまります。

 

そうしたら特に花火は関係ないのですよ!まあ、そこは置いておいたとしても、映像のフィルタというのでしょうか、空気感が安っぽいのです。例えば、「今日から俺は!」とか今放映中ならば「Heaven?~ご苦楽レストラン~」みたいなマンガを原作としたコメディータッチならばそれで違和感がないのですが、シリアスな刑事もののはずなのに(特殊能力があるのでSFかもしれませんが)、空気感がコメディータッチの映像なんですよ。ぜんぜんリアリティがない。

でも、役者の演技だけはシリアスなのです。それにリメイクを意識してなのか、演出なのかはわかりませんが演技がクサい。唐沢だけでなく、真木よう子がかなり無理を感じます。そのギャップが違和感をいい感じで増幅している。

 

また、緊急出動班の設置のプレゼンテーションシーンがダサい。どこの中小企業の会議室か?だし、プレゼンのパワポのレイアウトやフォントが20年前の新人社員の作った資料か!っていうくらいダサいし、なんで一番偉い警察署長がプレゼンターの横に座っているんだよ!組織の序列わかってんのか!だし。

 

さらに主人公の行きつけの中華屋の主人(You)が個性だしているし。そんなのいる?なんでタレントありきで配役して、シナリオよりタレントの個性を前面に押し出すのですかね?

 

もし製作費がないのであれば、そういうところの役は劇団の方にお願いして、他のところの予算回せばいいじゃないですか?なんで作品のクオリティを下げるほうにお金をかけるんですかね?

 

このドラマは1クールなので、10話から11話のはずです。本家は1シーズン16話なので、全ストーリーを全部やることはできませんし、日本の地上波では子供虐待の話は放映しにくいことがあるかわかりませんが、端折られています。そこを端折っているので、ストーリー的にも無理やり感のある演出で話を進めてしまっています。丁寧に語るべきところを軽ーく流しているので、全体的に能力が安っぽくなっています。そこはもう少しやりようがあるだろう!と思ってしまいました。

 

後、思い出しましたが監禁された女性でも、主人公の奥さんも暴力を振るわれた跡のクオリティが全然違います。日本のリメイクは、”私は暴力でケガを負いましたメイクをしています”っていう感じなのですが、本家のものは”リアルに殴られたできた跡”という感じなのです。やはりそういうところの積み重ねが緊急通報を受けてから10分以内が勝負!というドラマの緊迫感の根底に流れていると思います。

 

なんどもこのブログで書いていますが、私は面白いドラマが観たいのです。それは日本のドラマでもアメリカのドラマでも、フランスでもスペインでも韓国でもいいのです。ただリメイク作品は比較対象の本家があるのだから比較されることはわかっているはずです。

 

予算やスケジュールなどなど色々な制約が現場にはあるのだろうことはわかっていますが、もう少しやりようはあるのではないでしょうか?

 

とは言いつつも、そうやって本家とリメイク版の違いを比べることもドラマの楽しみの1つではあるわけなので、これからも面白いドラマがつくられることを期待しています。

 

時間がある方は見比べてください。